FROM 川嶋朗
西洋医学の医者は、
心の問題についてあまり考えていません。
考えているのは、患者さんの患部を
いかに治すかに重点をおき
患者さんの苦しみや辛さに
思いを寄せるということは
副次的なものになっています。
しかし、患者さんの
苦しみや辛さに思いを寄せなければ、
根本的な治療はできないと
私は考えています。
先日、ニーチェの研究者と
対談をしたことがあったのですが、
そのとき、ニーチェの
究極のポジティブ・シンキングを
あらためて思い知り、
はたと膝を叩いてしまいました。
それが
病気と立ち向かう患者さんたちの心に
希望の光となると思ったからです。
ニーチェは
「エネルギー保存の法則のもとで
万物が運動すると、永遠に時間がたてば
また元の状態がやってくる」
と説明しています。
たとえば、
抵抗がなくて止まることがないと
ビリヤード台では、
5秒後、10秒後とどんどん
ボールの位置が変わっていきますが
1億年か1兆年かわかりませんが、
ある時間がたてば、いつの日か、
元の状態が寸分違わず
必ずくるだろうと考えました。
これと同じで、
トータルの人生の輪が寸分狂わずに
永遠に同じ順序で自分に戻ってくる、
というのがニーチェの
「永遠の回帰」という考え方です。
つまり、「今、生きているこの人生」が、
そっくりそのまま永遠にめぐるのだから、
もし自分の人生を否定してしまえば、
永遠に苦しみがめぐってしまいます。
そんなことには耐えられません。
ならば、そのような「永遠の回帰」に
耐えられるように、今の存在を肯定して
生きればいいというわけです。
自分の人生にはマイナスもプラスもあるが、
いいことも、辛いことも「これでよかった」
と、自分の人生の全部を肯定してしまえばいい
とニーチェはいっています。
今、どんなに苦しくても、人生のなかで
たった1つでもいいことがあれば、
それを目指して次の人生を歩めるというわけです。
たとえそのプラスが、何かを
口に入れたときに素晴らしくおいしかった、
というのでもかまわないと。
私は病気で苦しむ患者さんにいつも、
「今、どんなに苦しくても、
このあと結果がよかったら、
今の苦しみはそのための肥やしですから」
と、お話ししています。
たとえ、今はどんなに苦しくても、
「この世」のすべてを全肯定して、
自分の人生と運命は最高であったと思えば、
目の前の苦しみを乗り越えていける希望を
持つことができると思うからです。
これは患者さんにだけいえることではありません。
今はまだ病気になっていない人たちにも、
このポジティブ・シンキングで
生きていってもらいたいと思っています。
ネガティブな心の状態が病気をつくるのです。
心がくじけそうになったとき、
ぜひ、ニーチェの考えを思い出してください。
人生はまんざらではありません。
現に、楽しいことだってたくさんあると、
心が前向きになっていくでしょう。
その気持が病気にならない体をつくるのです。
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◎編集後記
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今日をどのように過ごしても、
1日は1日、時間の過ぎる早さが
変わることはありません。
同じ1日であれば、
つらい、悲しい、とばかり考えるより
どんな些細なことでもいいから
自分が喜べること、良かったと
思えることを探しながら1日を過ごす方が
人生の質が高くなり、充実度も上がりますね。
ー 剱 悠子
PS
誰かを元気づけたり、励ましたり、
ポジティブな思考に変える
お手伝いをする人にとっては、
様々な視点を持つことが
相手の気持ちに届くアプローチができ、
信頼される関係づくりができるようになります。
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