FROM 川嶋朗
抗がん剤をめぐる議論は、昔から絶えません。
「保険適用されているということは、
エビデンス(科学的根拠)が認められているのだから、
当然効果はあるはずだ」
と言う人もいれば
「抗がん剤は、副作用などのリスクが高い割に効果が出にくい」
「百害あって一利なし」
と言う人もいます。
もし、主治医から抗がん剤による治療をすすめられたら、
ほとんどの患者さんは、
「薬が効く可能性に賭けたい」という期待と、
「もし効かなかったらどうしよう」
「副作用が強く出たらどうしよう」という不安の間で、
揺れ動くのではないかと思います。
では、数多くの患者さんたちに抗がん剤を投与してきた医者は、
抗がん剤について、どのように考えているのでしょうか。
これについて、いくつかの興味深いアンケート結果があります。
たとえば、以前、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が
がんの専門医にアンケートをとったところ、
約80%が「自分自身ががんになっても、抗がん剤による治療を受けない」
と回答したそうです。
また、自身も末期の腎臓がんを乗り越えた経験のある
寺山心一翁(しんいちろう)さんは、
数年前、国内外の医者に対し、匿名を条件に
「あなたやあなたの家族ががんになった場合、抗がん剤を使用しますか」
と尋ねました。
すると、271人中270人が
「絶対に拒否する」と回答。
「使用する」と回答した1人も、
「ふだん、患者さんに投与しているものよりも
薄めた抗がん剤を使いたい」と答えたそうです。
もちろん「医者」とひとくちに言っても、
価値観や専門分野はそれぞれ違います。
どのような医者に訊くかによって、
回答の内容も変わってくるでしょう。
しかし、私自身も医者、特に内科や消化器科の医者たちが
「自分ががんになっても、抗がん剤は使いたくない」
と言っているのをよく耳にしています。
それも1人やふたりではなく、実感としては、
少なくとも5割の医者が、そう言っているのです。
ではなぜ、医者たちは、「抗がん剤を使いたくない」と言うのでしょう。
続きは来週お伝えします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
どの医療行為にも
メリットとデメリットはあると
聞きますが、
医療の専門知識を持たない私には
正直いって、何を選択したらいいのか
よくわかりません。
プロフェッショナルである医師が
自分や家族にしたい治療法というのは
とても興味深く、
参考にしていきたいと思いました。
ー 三浦 とも子