FROM 川嶋朗
私のところにも、
認知症の患者を家族に持つ方が
相談に来ることがよくあります。
ある日、
「先生、認知症の患者は何年生きますか?」
と聞きにみえた家族の方がいました。
よく話を聞いてみると、
その家族のお父さんは、
10年前に認知症になってしまい、
暴力を振るう症状が出てしまったそうです。
とても家族だけでは介護できず、
施設に入れることを決断しました。
しかし、認知症専門の完全介護施設は、
入所額がとても高いことでも有名です。
一般的には、認知症発症から
死亡までの平均罹患期間は
8年から10年とはいわれていますが、
10年経ったいまも、
病状が進行しているものの、
お父さんは健康に過ごしているらしいのです。
家族の方は、
「もうこれ以上お金が出せません、
どうしたらいいですか。」
と困り切ったようすで私に訴えてきたのです。
この相談には、ただの医師である私には、
適切な回答をすることができませんでした。
入所額を肩代わりしてあげる、
というわけにもいきません。
行政とよく相談をして……、
というような話をしてお帰りいただきました。
認知症は時間とともに
確実に進行する病気です。
認知症には、
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症、
そしてそのほか、
他の病気との併発などがありますが、
大半を占めているのはこの二大認知症です。
病気の進み具合は
それぞれ特徴があります。
アルツハイマー型認知症は
比較的ゆるやかに進行します。
物忘れから始まり、新しい記憶を
留めておくことができなくなり、
だんだん過去の記憶も
忘れ去って行きます。
少しずつ、自分の意志を
伝えることができなくなっていく…
という進行ですが、
ストレスなどによって
一気に症状が進行する場合もあります。
脳血管性認知症は、
いくつかの進行タイプに分けられます。
早期に発見できてリハビリや
生活習慣改善をすることで
ある程度の症状で止めておける
「安定型」。
脳卒中などの病気を繰り返してしまい、
急激に症状が進行する
「階段型」。
リハビリや治療が成功し、
一時的に症状がよくなる
「一時回復型」。
一概にはいえませんが、認知症の進行は、
大きくはこのように3つに分けています。
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◎編集後記
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先日花火をしました。
いつもの公園でも、夜に花火をするときは
特別な場所のように感じます。
派手な手持ち花火の後に
火をつける線香花火も楽しみの1つ。
線香花火の先端を見つめていたら、
夏の疲れが少し取れた気がします。
ー三浦とも子