FROM 川嶋朗
以前、女性ファッション誌の記者から、
「最近の若い人はキチンと恋愛できる
人が減っているそうです。
どうしてでしょう?」
とインタビューを受けました。
正直、
「なぜ私にこのような
質問がきたのだろうか?」
と、驚きました。
私の専門は心理学でも社会学でもありません。
腎臓病学や膠原病、高血圧です。
それでも、
このような質問を受けるのは
滅多にないいい機会。
私の専門分野からの見地で
お答えできるようにと、
さまざまな文献に目を通しました。
そこで非常に興味深い、
イタリア人の学者が発表した
論文と出会います。
これによると人は恋愛中、
脳内伝達物質であるセロトニンの
分泌が低下するそうです。
セロトニンは癒しや安らぎを
与える物質といわれていますが、
低下すれば落ち込みや
やる気の減退につながります。
しかも恋愛中の低下率は、
一種のパニック障害とも
いえるレベルだそうです。
また、セロトニンの低下と同時に、
副腎皮質ホルモンの上昇が
みられることも最近、わかってきました。
副腎皮質ホルモンは、
ストレスを受けると分泌される物質、
抗ストレスホルモンです。
それが分泌されるということは、
恋愛は心身のストレスなのです。
そこから導いたのは、
「今の人は恋愛のストレスに
耐えられないために、
恋することを避けているのではないか?」
という見解です。
現代人はさまざまなストレスにさらされています。
そのため、常に抗ストレスホルモン
(副腎皮質ホルモン)は体の中で
とり合いになり、とても恋愛ストレスに
回せる余裕がないのかもしれません。
もちろん社会的なストレスの
せいだけではない、と私は考えます。
ストレスには、心身に
いいストレスと悪いストレスがあります。
例えば運動は体にストレス(負荷)を
かけますが、適度な運動は
「悪いストレス」ではなく、
心身を爽快にする「いいストレス」です。
恋愛も同じです。
関係を築くまでや
うまくいっているときの高揚感は
「いいストレス」。
ところが、関係がうまくいかない、
続けるのが面倒になると、
「悪いストレス」に一転します。
恋愛ごとに浮き沈みはつき物ですが、
だからこそワクワク、ドキドキを
楽しめるといえます。
しかし、今の若い人は、
いいストレスはまだしも、
悪いストレスに耐えられないのでは?
ストレスで自分の心が
耐えられないことを恐れて、
続ける努力をせずに恋を終わらせたり、
バーチャルな恋愛で満足したり。
さらには、恋することさえ
踏み出せない人がいるのではないでしょうか。
いつまでも恋愛を楽しんでいる人は、
恋愛の悲喜こもごもが引き起こす
ストレス程度は「恋の醍醐味」ぐらいに
考え、楽しむ余裕があるはず。
もちろん、ストレスで冷えきった
心と体を温めるのもいい。
冷えをとれば体力は上がり、
代謝や回復力、ストレスに対する耐性もアップ。
そうなれば体内で抗ストレスホルモンを
とり合うこともなくなり、恋愛上手に
なれるかもしれません。
ちなみに恋愛中、
男性は女性ホルモンが、
女性は男性ホルモンの分泌が
上がるといわれています。
恋をすると女性はより猛々しく、
男性はより女性らしいマインドになります。
だから別れるとき、男性のほうが
妙にサッパリしないのでしょうね。
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◎編集後記
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中学生の頃や、20歳そこそこの頃、
「好きな気持ちが強すぎて苦しい」
「振られたショックでごはんが食べられない」
という女の子たちが周りにはたくさんいまして。
そんな言葉を聞くたびに
「私もそんな風に言ってみたい…」
と、ちょっと憧れの気持ちが
あったことを今思い出しました、、、
苦しいこともあるけれど、
その倍以上うれしい、たのしいと
思えることもありますもんね♪
ー 剱 悠子
PS
恋愛や夫婦の関係で生まれる問題って
正直、他の人とは共有しにくいことも
ありますが、そんな時に役立つ
コミュニケーション方法を知っていれば
「悪いストレス」も減らせるでしょう