FROM 川嶋朗
私の友人である水上治先生は、
いくつかの病院での勤務を経た後、2007年に、
東京・市ヶ谷に「健康増進クリニック」を創設。
私同様、西洋医学と相補・代替医療(以下、代替医療)を
組み合わせた統合医療に力を注いでいます。
水上先生とも「自分ががんになったらどうするか」
という話をしたことがあるのですが、
そのとき先生は
「西洋医学の治療だろうと代替医療だろうと、
少しでも可能性があるなら、お金が許す限り何でもやります。
ただ、抗がん剤だけは拒否したいですね」
とおっしゃっていました。
先生が抗がん剤を拒否するのは、
「副作用に苦しむ患者さんたちを目の当たりにしてきたため」であり、
「副作用による突然死を避けるため」でもあります。
抗がん剤はときに、心筋にダメージを与え、
不整脈や狭心症、心筋梗塞、心不全などを引き起こすことがあります。
そして、抗がん剤を投与された患者さんの1から2%は、
心不全によって亡くなっています。
しかもそうした副作用は、抗がん剤が投与されてすぐに起こることもあれば、
数週間後に突然起こることもあります。
いつ何が起こるかわからないのです。
「1から2%」という数字は、
人によっては「きわめて低い」と思われてしまうかもしれません。
しかし先生は勤務医時代、抗がん剤を投与された患者さんの何人かが、
やはり心不全で突然亡くなるのを実際に見ています。
そして「自分が1から2%に入らない自信がない」と言います。
身辺の整理もできず、
家族や友人など会いたい人にも会えずに
突然死を迎えるよりは、
がん死を受け入れ、
最期のときに向けてゆっくりと心の準備をしたい。
それが水上先生の希望だそうです。
少しでも治療効果が得られる可能性をとるか、
副作用のリスクを避けるか。
実に微妙な選択です。
抗がん剤が効けばよいのですが、
もし効かなければ、
副作用でいたずらに体力を消耗することになってしまいます。
医者たちは、抗がん剤のメリット・デメリットを熟知し、
副作用に苦しむ患者さんたちをたくさん見てきています。
それゆえに
「自分ががんになったら、抗がん剤を使いたくない」と言うのです。
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◎編集後記
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抗がん剤を使用するか、しないか
本当に微妙で、難しい選択なのだと
わかりました。
医療の専門家の声を届けることで
少しでも
お役に立つことができたら・・・と思います。
ー三浦とも子