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FROM 帯津良一

後年、初めての内モンゴル自治区
ホロンバイル盟のハイラル市。

これまた初めての大草原行きの朝、
同行する盟立(めいりつ)病院のスタッフが
ホテルの私の部屋に集まる。

どうやら小雨の上がるのを待って出かけるらしい。

「そろそろ出かけましょうよ!
 雨も亦奇なりというではありませんか……」

と催促したところ、
すっかり親しくなった外科医の先生が、

「いやぁ……
 じつはこの地方では雨の日は
 草原に出ないという不文律があるのですよぉ……。

 馬や牛のために雨の日草原に出て
 草を傷めたくないという気持ちからなのですよぉ……」

いやぁ、いいなあ、この心根が。

このとき、雨も亦奇なりという言葉が
私の胸にしっとりと納まったのである。

3日間の抗州観光を終えて、9月11日に上海入り。
宿舎は錦江(きんこう)飯店。

決して新しくはないが、
十分にその伝統を窺わせる風格である。

北京料理のクラシックな味に
いささか飽いてきていたので、

ここで初めて料理に注文をつけてみた。

焼きそばを注文したのである。

勘は当たった。
こんな旨い焼そばを食べたことがない。

まさしく
「わが初訪中の最高の思い出になった」
と言っても過言ではない。

そして翌日訪れた上海胸科医院における
食道がんの手術の多さには正直舌を巻いた。

1951年から1979年までの29年間に、
この病院で治療した食道がんの
患者さんの総数は3426人ということで、

私たちが訪れた日も、3つの手術室で同時に、
食道がんの手術が進められていた。

中国における食道がんの罹患率(りかんりつ)の高さと
手術のレベルの高さをあらためて
思い知らされた次第である。

折しも中秋の明月。

帰路についたとき、張益英先生も謝玉泉先生も
いつ買い求めたのか、

月餅(げっぺい)の箱を大事そうにかlかえている。

上海一の有名店で買い求めたと言う。

中秋の明月を目にすると、かならず、
この夜の南京路(なんきんろ)の人々のさんざめきが
蘇(よみがえ)ってくる。

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◎編集後記
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クリスマス時期になると毎年

本物のもみの木の枝を使った
リースを作りたいと思っていました。

なかなかチャレンジ
できなかったのですが、
今年はレッスンに申し込みました。

楽しみです!

ー 三浦ともこ

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